企画展開催スケジュール
2014年4月17日(木)-4月25日(金)生誕100年 浅野弥衛 展
2014-03-20
生誕100年 浅野 弥衛 展 YAE ASANO
-タテに観る世界-
4月17日(木)-4月25日(金)
浅野弥衛・タテに観る世界
今でも弥次喜多の歩いていそうな海道に沿う旧家に生まれ育った浅野弥衛は、生涯そこで独自の抽象画の世界を極めたのであったが、星菫を愛する人でもあった。
夏であれ、冬であれ、しばしば家族や客人を誘って屋外に出た。狭所(せこ)を下って水田の畦に案内した。幸いにして満天の星である。揃って夜空の美しさに酔ったものだ。
また春や秋には、萌え出ずる稲麦やつくしや菫や菜の花や蕗の薹に注目することを強いた。
独自の美意識で築き上げた作品世界を支えていたのは、こういう天空の理、地上の利に適う天然気象への愛着だったろうと思う。
引っかきという技術を大事にしていた彼は絵の具の乾きが重要な関心事で、予報の合わなかった時には、激しく電話で気象庁を責めていた。
星つながりで想うのは、イギリスの片田舎に育った作曲家ホルストのジュピター(木星)制作百年の今年、浅野の生誕百年を迎える偶縁である。
多分、浅野の世界にはヨコからの視線はなく、天を仰ぎ、地に伏せるというタテの視線が貫いているようだ。従って壁面を飾るよりは天井に掲げたり、地上に置いたりして、観る方が、魂に響く観方が出来るのではないかと思われる。
夏であれ、冬であれ、しばしば家族や客人を誘って屋外に出た。狭所(せこ)を下って水田の畦に案内した。幸いにして満天の星である。揃って夜空の美しさに酔ったものだ。
また春や秋には、萌え出ずる稲麦やつくしや菫や菜の花や蕗の薹に注目することを強いた。
独自の美意識で築き上げた作品世界を支えていたのは、こういう天空の理、地上の利に適う天然気象への愛着だったろうと思う。
引っかきという技術を大事にしていた彼は絵の具の乾きが重要な関心事で、予報の合わなかった時には、激しく電話で気象庁を責めていた。
星つながりで想うのは、イギリスの片田舎に育った作曲家ホルストのジュピター(木星)制作百年の今年、浅野の生誕百年を迎える偶縁である。
多分、浅野の世界にはヨコからの視線はなく、天を仰ぎ、地に伏せるというタテの視線が貫いているようだ。従って壁面を飾るよりは天井に掲げたり、地上に置いたりして、観る方が、魂に響く観方が出来るのではないかと思われる。
清水 信(文芸評論家)
略歴
1914/三重県鈴鹿市生。50/美術文化協会会員(63退会)。61-72名古屋画廊個展(12回)。71/銀座みゆき画廊個展(主催・名古屋画廊)。62/第13回秀作美術展(日本橋三越)。68/THE EXHIBITION OF JAPANESE ARTISTS DRAWING(ロスアンゼルス)。74-92/桜画廊個展(15回)。82/現代美術の展望展(富山県立近代美術館)。85/名古屋市芸術賞〈特賞〉。86/現代の白と黒展(埼玉県立近代美術館)。87/愛知芸大客員教授。92/名古屋画廊創業50周年記念現代の洋画展。同水彩・デッサン新作展。95/線について展(板橋区立美術館)。96/浅野弥衛展(三重県立美術館)。逝去(81歳)。2007/没後10年浅野弥衛展(名古屋画廊)。