企画展開催スケジュール
徳川家康ブロンズ騎馬像(東岡崎駅前)設置記念
神戸 峰 男 展
MINEO KANBE
10月30日(水)-11月9日(土)’19
10:00a.m.-6:00p.m. 日・祝休廊
レセプションご案内
11月2日[土] 5:00p.m.-6:30p.m.
皆様のご来駕をお待ち申し上げます。
【関連講演会】 「徳川家康ブロンズ騎馬像(東岡崎駅前)制作について」 講師:神戸峰男
11月9日[土] 17:00p.m.~18:00p.m. アート倶楽部カルチェ・ラタン 名古屋池下
URL:http://www.quartier-latin.jp Tel.052‐751‐8033 ※要予約
ここぞという時の1mm-神戸峰男の家康騎馬像のこと
7月中頃に、岐阜県可児市久々利にある神戸峰男のアトリエを訪ねた。名鉄東岡崎駅前に設置予定の徳川家康の騎馬像制作現場を見たかったからだ。神戸峰男が数年前からその制作に着手していたことは、私が岡崎市の美術作品収集委員や協議会委員である関係で耳にしていた。正直なところ悩み多き21世紀に公共の駅前広場に歴史上人物の騎馬像には関心はなかったのだ。ところがある時知人から神戸峰男が制作中の5mを超える粘土塑像写真を見せてもらって、「これはただ事ではないフォルム」と思ったのだ。手綱を引かれた馬の口からは歯が覗き、巨大な臀部には長い尾がほぼ水平に泳いでいる姿である。顔と尾を見れば疾走する形である。ところが逞しい騎馬の四本の脚はすべて大地に据えられているのだ。
かつて名古屋デザイン博で試作されたレオナルド・ダ・ヴィンチのスフォルツァ騎馬像を思い出したのだが、それよりもむしろ大原美術館玄関に立つ、ロダンの荒野で「説教する聖ヨハネ」像を思い浮かべた。以前からこのヨハネ像の大きく踏み込んだ両足がべったり地面に密着しているのが不思議だったからだ。神戸峰男の騎馬像の4本脚が同じである。ヨハネ像も 戸の騎馬像も不自然さを超えた普遍の何かに挑むエネルギーを発する造形なのだろう。私が熊谷守一を話題にすると、神戸もあの守一の赤い輪郭線は引っ掻いた線ではなく輪郭線を残すように周囲を極度の緊張で塗っているのだよ、と言う。そして「この騎馬像もここはという箇所は一ミリを競う粘土づけなんだ」という。小さな4号作品と97歳の熊谷守一。5mの彫刻と75歳の神戸峰男。二人ともここぞ!という時は1mmが勝負なのだ。
古川秀昭(OKBギャラリーおおがき館長 元岐阜県美術館館長)