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株式会社名古屋画廊
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企画展開催スケジュール

11月25日(金)-12月10日(土)桑山 忠明 展 ―1960年代から70年代へ
Untitled 1966年 アクリル、キャンバス 70.5×70.5cm
桑山 忠明 展
TADAAKI KUWAYAMA
― 1960年代から70年代へ
11月25日[金]-12月10日[土]’22
11:00a.m.-6:00p.m. 日・祝休廊
(土曜日 12:00p.m.-5:00p.m.)
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■桑山忠明《作品》(黄、1966年作)をめぐって        中山真一
 本作品は桑山忠明先生の、日本で初めて販売された記念的な一点である。しかも秀作であろう。1958年(昭33)ニューヨークにわたった桑山先生は、67年(昭42)初の里帰り展を東京画廊でひらいた。そのおり名古屋の名コレクター故・山口博氏が購入したのが本作品なのである。
 渡米時、時代は抽象表現主義が勢いをうしなっていくころ。時代の最先端をいきたいと願った桑山先生は、萌芽期のミニマリズムにそれを見た。それも当初、東京芸大日本画科の卒業生らしく日本画の顔料をつかって制作していく。そして、本作品にみられる明るい色彩による、それにしても禁欲的でミニマルな作風をほどなく確立していった。
私どもは本作品を山口氏のご遺族からわけていただいている。桑山先生に、まさに日本で初めて売れた作品と確認していただいた。あらゆる情緒性をそぎおとし、画面に創作の痕跡などいっさい残したくないという創作理念であり、しかしアメリカ1960年代という時代のもつパワーと、桑山先生ご自身のみなぎる制作意欲や若さが宿っているように、どうにも私などには見えてならない。
 当時、山口氏は南画廊や東京画廊を中心に現代美術を精力的にコレクションしている。のち桑山作品の制作も自身の会社(合板関連)でかかわった。当時の両画廊の貴重なカタログ数十冊も、わたしはやはりご遺族から頂戴している(画商冥利につきること!)。すべて、郵送されてきた封筒に入って保管されていた。あて名はすべて手書きである。私はその整理のおり、最初それぞれの封筒からカタログをぬいて封筒をすてようとしていた。だが、その作業がずいぶん野蛮なことに思えてきて、封筒もいっしょに保管することに。山口氏の、画廊の、アートへの思いが見えてきた。作品とともに、それらカタログ類もわたしの大事なコレクションとなっている。
『第19回 私の愛する一点展』(東御市梅野記念絵画館友の会、長野県、2019年)より転載。

■略歴:1932/名古屋市生。56/東京芸術大学卒。58~/在ニューヨーク。近年の国内個展:2010/名古屋市美術館。11/国立国際美術館、金沢21世紀美術館。12/神奈川県立近代美術館 葉山。13・21/名古屋画廊。


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