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企画展開催スケジュール

2018年6月30日(土)-7月10日(火) 上田 薫 展
2018-04-20
《なま玉子L》 1987年 油彩・キャンバス 45.5×33.3cm
《なま玉子L》 1987年
画集刊行記念
上 田 薫 展 KAORU UEDA
-ユレイカの瑞々しい耀き-
6月30日(土)-7月10日(火)
 
「写真はイメージです」上田薫。ひたすらにイメージであること
「写真はイメージです」…商品を紹介するチラシなどの印刷物の隅のほうに小さく印字されていることが多い短文。ほぼ同語反復であって、文章としては無意味に近い。実際には、印刷された写真と一体となってかろうじてその意味を伝える。「写真は(現実ではなく)イメージです」という意味がそのとき浮上してくる。
しかし、「写真」という言葉には「真」という漢字が含まれている。ひとはどうしても「真実」あるいは「現実」の反映をそこに期待してしまうのだ。
その期待をあえて踏み抜いて、それがどこまでも「イメージ」であることを看破する。
1958年に南画廊で画家としてデビューを飾った上田薫が、いったん絵画制作を中断し、1970年を境に、抽象表現主義的な身振りや感情の「真実」や「現実」を脱ぎ捨て、イメージそのものに収斂しえた背景にはそのような洞察があった。
いうならばイメージを裸にした。イメージにまつわる夾雑物をきれいに取り除いた。広告宣伝がオブジェとしての商品を主役にするように、上田薫も、たとえば中空で割れて中身が流れ落ちる生卵だけを描いた。それは空虚ななにもない空間に宙吊りにされている。細部はどこまでもリアル。だが、状況は非リアルである。あくまでもイメージはイメージでしかないからだ。
そのことを洞察した上田薫のイメージ群は、いまなお驚くべきイメージの純度と強度を保っている。
「写真はイメージです」…そのメッセージを画家は発見した。「ユレイカ(我、発見せり)」の瑞々しい耀きがそこには宿っている。
水沢 勉(神奈川県立近代美術館館長)
略歴
1928/東京都生。54/東京藝術大学卒業。56/MMG社ポスター国際コンクール〈国際大賞〉。58/個展(南画廊)。72~77/ジャパン・アート・フェスティバル〈75/優秀賞〉。74/日本・伝統と現代(デュッセルドルフ美術館)。75・76現代日本美術展〈75/東京国立近代美術館賞76/群馬県立近代美館賞〉。75・78/安井賞展。77~84/国際形象展。79~84/明日への具象展。84~88/具象絵画ビエンナーレ。2000/日本美術の20世紀(東京都現代美術館)。17/上田薫展(神奈川県立近代美術館葉山)。
 
 
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